個人と組織が共にイノベーションする時代〜注目される複業・兼業の働き方〜
https://flexy.connpass.com/event/216837/
に行ってきたので、そのときのレポート
登壇者
- 株式会社レクター 取締役 広木 大地 様
- 株式会社BuySell Technologies 取締役CTO 今村 雅幸 様
- 株式会社カオナビ CTO 松下 雅和 様
トークテーマ1;「個人としての複業・兼業」
広木さん
「今村さんとか復業とか兼業について思いとかありますか?」
今村さん
「基本的に推奨でいいと思っていて、どういう複業をするかだと思う。
それこそ、本業に生かせるものとか。
どのレイヤーの人でもだと思うが、基本的に 1 社のプロダクトのみ見ている状態の場合、限界がある。
他の会社はどうやってるんだろうとか、どうすればよりよくできるか?というところを見て、
本業にいかせたりすればいいと思っている。」
広木さん
「ご自身のキャリアの中で、目の前が開けたなっていうときに他の会社を見たりしたこととかあったんですか?」
今村さん
「ありましたね。2 つあって、自分で事業をやったことと、
あとは、同じような会社さんのヘルプに入ったこと。2 つとも、よかったと思う。
自分と知り合いの 2 人でやってる会社もあれば、採用したい技術スタックがあるが、
この技術はどこまで使えるのか?とか思ったときに触れたりしたので良かったと思う。
マネジメントの観点からいうと、同じことをしても、いる人によって上手くいくいかないというところが感じられたのでよかった。
そういう意味で、よそのとこの環境を身を持って知るっていうのは良い。
自分の会社で考えていることが全てではない、というのが感じられた」
広木さん
「何歳くらいのときの話ですか?」
今村さん
「27 歳くらいですね。」
広木さん
「そのくらいのタイミングで知れたのが良かったんですね」
今村さん
「そうですね。自分のやってることが全て正しいと思うが、そうじゃないのが分かったので良かった」
広木さん
「松下さんはご自身のキャリアで何かありますか?書籍とか書いてますが。」
松下さん
「そうですね。書籍ではないんですが、卒業した大学のゼミを手伝ったことがあった。
改めて、大学時代とは違う視点(社会への意義とか)が見れたので良かった」
広木さん
「リカレント教育じゃないが、研究室に久しぶりに顔出してみるとかも刺激があるかもですね。
松下さんのところでは、複業を推奨しているんですか?」
松下さん
「そうですね。推奨していて、自分の好きなことをして収入を増やすのもいいし、
エンジニアとしていろんな会社をみるのもメリットが大きいと思います。
web 系以外の製造業とかも知れるので、面白いし、自分のキャリアにもなると思う。」
広木さん
「複業しますって言ったらめちゃめちゃ忙しくなると思うかもしれないが、どうですか?」
松下さん
「カオナビでは、残業するのが悪のような文化があるので、会社としては仕組みが整っています。」
広木さん
「今村さんのところでは、前職とかで、兼業してる人がかなり忙しくなっちゃったみたいなことはないですか?」
今村さん
「前職だと複業らしい複業はしていなくて、本業にコミットしていたので、
土日で基本的にお手伝いするみたいなことがあったんで、忙しいのは忙しいけど、
もし平日もやったらコンテキストスイッチとか大変だなって思います」
広木さん
「松下さんはどうですか?平日の時間を使っていたんですか?」
松下さん
「そんなに大変ではないですね。1 時間とかくらいなので。」
広木さん
「お二人の話を聞くと、お金が儲かりそうだなっていうよりは、
自分の興味あることを学んだり、成長のためにやるんだったらいいんじゃないのっていうことなんですかね」
今村さん
「その通りですね。人によると思うんですけど、お金というよりは経験を積みたいって人はいますね。
なんだかんだ経験のほうがプラスになってたりしますね」
広木さん
「どこでもいいから複業したいよっていうよりは、
もしかしたら転職先候補とか、知りたいこととかで複業してみるとお得かもですね。
Flexy さんも複業してから転職するとかもあるらしいです。
僕もいろんな会社を手伝わさせてもらって、
世の中のエンジニアが抱えてる課題とかを目にすることが多くなって
全体感がわかって一般論とかも言えるようになったんで、たくさんの会社をみるっていいですよね」
今村さん
「井の中の蛙にならないのが大事ですね。
自分の力が本当に社会で役立つのかっていうのを確認するためにもいいですね」
広木さん
「組織として複業をどう活用するかみたいな話も今日しますが、
もし今日 YouTube みてらっしゃる方で個人として複業に質問やコメントがある方は教えてくれるとうれしいです。
まだ 3 年経ってないくらいのジュニアの人で、ちょっとお金ほしいから複業したいなって思っている人への注意点とかありますか?」
今村さん
「これは後半の話題に関わるかもですが、どの会社の複業をするかって、メインでやってる会社にとっては本人が思っている以上に重要だと思う。
例えば、競合の手伝いをしてたことになったとか、労働時間とか。気をつけたほうがいいなと思った。
複業の仕組みが整ってない会社ほど注意したほうがいいと思う。
だれかが注意してくれるとかは少ないので、細かいルールがある会社のほうがいいし、そういうのがないと気をつけたほうがいい。
それやってダメになって本業に影響が出たりしないように」
広木さん
「松下さんは複業始める人に何かあります?」
松下さん
「そうですね。本当に支障がないのかを考えたほうがいい。
例えば、株に張り付いて本業に支障が出てるとかあると思うが、複業でも同じことだと思うので
本業に影響がでないか考えたほうがいい。徐々に負荷を上げるとか。」
広木さん
「いま質問が来ていて、経験が浅いが複業できますか?という質問が来てますが、どうですか。」
今村さん
「そもそも本業で信頼値があってこそなので、かつ成果を出しているかで、
複業先の雇う側からしても、みんなそういうところを考えると思う。
そのベースを築くという意味でも。」
松下さん
「自分も同意で、やっぱり本業での信頼が大事だと思う。
本業で意見が通りにくいとかの状況になっちゃわないようにしないといけない。」
広木さん
「これ難しいですよね。例えば 3 年目でスキルがある人でも会社の中だとなかなか給料上がらない人とかいますよね。
そんな中で複業で 10 万もらえますとか言われると、考えちゃうことあると思う。
僕としては、トラブルがなければいいなと思う。
ふらっと知ってる会社だから契約しちゃったとか、反社チェックは自分でしないといけない。
Flexy さんの会社を通したりすると楽だよねとか。
もしかしたら始めるときに、本当に直でやっちゃうと困ることがあるので、間に会社を挟んだほうがいいかもしれないし、
ちょっとずつ時間を伸ばすとかが良いと思う」
今村さん
「そうですね。契約書とかも読めないと思うので、仲介とか挟んだほうがいいと思う」
広木さん
「学生のときに直でやりとりしてると、怪しい会社とかも経験してたので。笑
それで学んできたんで、僕はやったらいいんじゃない?とは自分は思うけど、
自分のキャパとのバランスの器用さは持ってたほうがいいかもですね」
広木さん
「さて、次のテーマにいけたらと思います。」
トークテーマ2;「組織としての複業・兼業」
広木さん
「複業が普及してきて、組織としての付き合い方を聞いていきたいと思います。」
松下さん
「カオナビとしては、社長がそもそも正しい働き方をしていれば複業しちゃだめな理由がわからないというスタンス。
複業先で得た知見を還元してくれるし、その人にとっても良い人生になる。
お互いにとってメリットのある制度になっている。温泉で働いてる人もいますね」
広木さん
「温泉で働くのいいですね。リモートが普及してきて、趣味をしながら仕事とかもできるかもですね。
そういうのが当たり前になってきたときに、私温泉で働きたいので転職しますとか、そういうネガティヴな面ってありますか?」
松下さん
「相互選択関係という文化があって、企業と個人の相互にとって良いものを正としようという考え方がある。
そこで、転職したほうがその人のためになると考えるなら、それは正しいと思っている。
もちろん抜けられるのは痛手だが、そういうもんだと思っている。」
広木さん
「ロイヤリティーよりもエンゲージってことですね。
そういうのを作るのって結構難しいと思うんですけど、苦労とかありますか?」
松下さん
「属人性を排除しないと、その人が抜けると仕事できないとなるので、
人の入れ替わりを許容できる体制を作っていかないといけないなと思います。」
広木さん
「属人化減らす話で、俺いなくても回るから辞めてもいいかなって思う人もいると思うが、どうですか?」
松下さん
「帰属意識のバランスが大事だと思う。カオナビで働きたいっていう気持ちをどれだけ提供できるかだと思っている。」
広木さん
「いまどのくらいの人の割合が複業されてるんですか?」
松下さん
「5, 6 人に一人くらいしてますね。」
広木さん
「残業時間が少ない分、複業してるってことなんですかね。
ちなみに、今村さんがおっしゃってたような、複業先の競合調査みたいなチェックとかしているんですか?」
松下さん
「稟議を通してチェックしてますね。複業じゃないかとか、業務時間が本業に影響しないかとか.」
広木さん
「ちなみにどれくらいの時間なら良いんですか?」
松下さん
「月に 20,30 くらいだといいですけど、40,50 になってくると土日潰して残業とかになるので、考えますね」
広木さん
「月に 20,30 くらいの複業を受け入れるってことはカオナビさんではしているんですか?」
松下さん
「まだあまりできていなくて、週 3 本業で 2 日は複業って人はいますね。それ以上の人はまだいないですね。」
広木さん
「複業先って、カオナビさんみたいに残業しない企業だと、時間が合わなくなってくると思う。
本業後に複業を受け入れると、残業してしなきゃいけないみたいな状況になると思いますが、どうですか?」
松下さん
「スーパーフレックスという制度があるので、そこは柔軟にしている。
たとえば海外で働いている人もいて昼夜逆転もしている。」
広木さん
「複業を許可するしないという部分について、これまで取り組んできたことありますか?」
今村さん
「許可せざるおえないという感じですね。経営目線でいうと、本人を守るということのリスクヘッジを考えている。
カオナビさんと同じで稼働時間とか。最低限の仕組みは用意したいと思っている。
会社としては、推奨するというよりは、禁止できないという感じですね。
複業した結果転職しますって人もいましたし、その前提で自社が良いと思ってくれたほうがいいとか。」
広木さん
「実際いま聴いてらっしゃるかたで、複業を許可せざるおえないとかあると思います。
例えば採用してて、
「複業していいですか?」って聞かれて
「ダメですよ」ってなると音信不通になったりする。
さっき松下さんがおっしゃってたように相互選択の話も作るのが大変で、ポンポンやめちゃうみたいな話があるので、難しいですよね。
複業取り入れようとしている会社の人もいると思いますが、契約形態とかって絞ったりするんですか?」
松下さん
「そこは絞ってないですね。正社員は NG ですが。」
広木さん
「複業の申請を断ったこととかあります?」
今村さん
「98%くらいは通ってますね。残りは、それこそ競合をやろうとしてるとか。まぁでもほとんど通してますね。」
広木さん
「難しいなと思うのが、IT コングロマリットとかあるので、実は競合になりますとかありそうですね。
カオナビさんとかどうですか?例えば HR テック NG とか。」
松下さん
「そうですね、HR テックがどこまでかというのは難しいですが。
一部かぶってるところとかあるので、難しいですよね。」
広木さん
「急に始めるとこもありますよね。例えば Wantedly さんが新しいのを始めたから途中からダメとか。そういうことありましたか?」
松下さん
「これまではないですが、気をつけていかないといけないなとか。」
広木さん
「競合から来てくれる分には歓迎ですか?」
今村さん
「僕らは歓迎ですね。もちろんビジネスのコアになるノウハウとか関わると事件になるので、
ルールを細かくしたりしてリスクヘッジはしています。」
広木さん
「質問がありますね。CA は社内複業するようになった。そういうのどう思います?」
今村さん
「シンプルに、外でやって辞められるなら中でやったほうがいいと思いますね。
あとは規模もありますしね。規模が大きいと成立するとか。」
広木さん
「違法残業とかに繋がる可能性もあるから、そういうの大変だなとは思いますね。
松下さんの会社でカオナビさんで事業を跨いで複業とかありますか?」
松下さん
「あまりないですね。スクラムマスターとかは横断的にやらないといけない人はいますが。」
広木さん
「若い内からいろんな経験積みたいので焦ってますみたいなコメントきてますね」
今村さん
「SNS とか普及してきて、活躍している人とか広告とかもあるので、焦る気持ちとか昔に比べてあるかもですね。
やっぱり与えられたフィールドでしっかりと評価される良い会社なんだとしたら、そこでしっかり成果を出したほうがいいかなと思う。
特に若いうちは。」
広木さん
「エンジニア業界だと転職あたりまえってありますけど、世の中で複業が広まったとしたら
時間的余裕で別なことしましょうとかあるかもだし、定年後に短い時間で働くとかも増えていくかと思って、
エンジニア・デザイナーも part time job の人が増えていくと思う。
そういうことで考えていることってありますか?」
今村さん
「ノウハウを持ってるベテランというふうに仮定するのであれば、
どううまく経験や知識をうまく組織に取り入れるのかみたいな仕組み作りはブラッシュアップできるのかなと思う。
例えば技術顧問とか、同じ時間を過ごしてても組織への還元力の違いとかあると思うんですよね。
何をすればいいのかっていうのはもっと議論されてもいいかなと思います。僕自身も模索中ですね。」
広木さん
「カオナビさんとか、将来複業の人が増えていく社会にどういう戦略を持ってるとかありますか?」
松下さん
「カオナビとしては、その人自身のポートフォリオみたいなものが組織に帰属してしまうところを
転職先にも渡すことで個人のスキルや能力をポータブルに持ち運べるとかしていきたいなと思います。」
広木さん
「YouTube で質問が来てます。複業人材で魅力的な人ってどんな人ですか?」
今村さん
「一番わかりやすいのは、何かのスペシャリストだとわかりやすいですね。
どのスキルでもいいんだが、この人だったら課題解決してくれそうとか、そういう人は魅力的ですね。」
広木さん
「具体的にこういう課題解決をしたことあります、っていう人のほうが嬉しい?」
今村さん
「どういう課題を解決してきたか、っていうのをちゃんと語れると良いと思う。」
広木さん
「松下さんはこれから複業を受け入れると思いますが、採用したいなと思う人はどんな人ですか?」
松下さん
「今村さんと同じなんですが、オンボーディングをどれだけ早く終えられるかとか、企業の文化に合うとかみてますね」
広木さん
「正直めっちゃマッチしてる人いたら口説きますよね。
採用する側からしたら、複業できて採用したいって理想的だと思うんですよね。」
今村さん
「いたかいなかったかでいうと、いましたね。フリーランスの人を正社員にしたりとか。」
広木さん
「難しいですよね。複業して経験積んで帰ってきてほしい面もあるけど、
来た側からすると、複業から正社員になってほしいって思いますし。」
広木さん
「質問きてますね。
60歳定年間近なメーカーのエンジニアです。経験を別の業界で活かせることを夢見ています。私をうまく使ってって感じです。」
今村さん
「これまさに、似たような人を採用したことあります。
ソフトウェア企業がハードウェアやるってなるとノウハウがないため、違う業界の人を採用したりした。
その人としても、既存の知識を違う業界に役立たせられるので、そういう人は意外にいると思う。」
広木さん
「そういう人は多そうですね。
人材会社の人は、言語や経験年数がマッチしてるとかを見ているが、
CTO の話きくと、違う業界の人がパフォーマンス発揮してくれたとかあるので、
こういうケースは全然あると思う。」
クロージング
広木さん
「では、今回お話しての感じたこととかお願いします」
今村さん
「複業は 1 エンジニアとして良い機会というスタンスは変わらないです。
エンジニアにとっては複業の機会っていうのは増えていくと思う。
コロナになって、リモートワークも根づき出しているので、やりやすいと思う。
ある程度他の世界を見てチャレンジするのは良いと思う。」
松下さん
「カオナビとしては兼業推奨しているし、これからは特化した人が兼業として来ていただくこともある。
それを当たり前にしていきたいと思う。。
いろんな方がいろんな働き方ができる世界がカオナビからできれば良いと思う。」
広木さん
「やっぱり経営者になったときに、この変化の対応は企業にとって強みにしたいが弱みにしたくないので
そういうバランスが求められていると思う。
そういうのをうまく活用できている事例とかノウハウをキャッチアップしていくのが今後必要かなぁと思う。」